2014年12月アーカイブ

東京難民(上) (光文社文庫) 東京難民(下) (光文社文庫)


お気楽な主人公には嫌悪感さえ覚える、また下巻は手抜きとしか言いようがない

読めば読むほど気が滅入ってくる内容だが、上巻は割とテンポよく話が展開するためあっという間に読み終えた。ただ、下巻になると苛立たしさを感じるようになってきた。 冒頭にシャッター商店街の定食屋が何の前触れもなく閉店していたというところから始まるのだが、このような突然のことが主人公にも起こってしまう。実家の両親が失踪し気ままな学生生活からフリーター、さらにはホームレスになってしまうのだ。当初お気楽に考えていたためかバイトもうまくいかず、恋人も友人にも不義理をして別れてしまう。ホストや日雇いをする羽目になるところで、下巻の1/3になったのだが、中国マフィアからの逃亡や予知能力のある浮浪者の登場で嫌気が差し、そこが限界で読むのを止めた。作者としてはどうやって話を終わらせようかと苦心したのかもしれないが、手抜きと言われても仕方のない出来である。
全体を通して、主人公のお気楽さ、危機意識のなさ、ルーズさには嫌悪感さえ感じた。

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内容(「BOOK」データベースより)
時枝修は、東京郊外にある私立大学の三年生。夏休み明けにクラス担任から告げられたのは、学費未納で除籍になるという寝耳に水の事実だった。北九州の実家では、借金を抱えた両親が失踪。貯金はないに等しい。アルバイトを転々とする中、家賃滞納で住居も追い出されてしまう。追いつめられる修。だが、それはまだ、底なしの貧困と孤独への入口に過ぎなかった―。

旅のラゴス (新潮文庫)


SF的小説だがそれだけにはとどまらない不思議な話だ

著者の名前はもちろんよく知っていたが、作品を読むのはこれが初めてである。
話は突然始まる。遊牧民の話かと思っているといきなり集団で転移(いわゆるワープ、瞬間空間移動)をするという話が出てきて驚いた。また、他人や動物の意思を察知できる能力や浮遊能力を持つ者も登場する。こういうところからSF小説に分類されるのだろうか。
主人公はラゴスという若者だが、何者でなぜ旅を続けているのかは、なかなか明らかにされない。行く先々でいろんな困難に会うが、人柄や能力を認められ、(特に女性に)好感を持たれ、それを乗り越えていく。南の国で旅の目的地と思われるところにたどり着くのだが、そこでやっとラゴスのいる世界がどういうものかが分かってくる。
おそらく、現在の地球人が滅びて、生き残った者が他の惑星に移住して、文明を持ち始めた時期の世界だ。その南の国には、かつて栄えた地球人が残した宇宙船、多くの書物が残されていて、ラゴスはそれを求めて旅をしていたのだ。数年をかけて多くの知識を吸収して生まれ故郷の北方都市に帰り、一気に高度な文明や技術が普及するのを懸念しつつも文明の伝達に努める。
しかしやがて、若い頃旅の途中で会ったデーデという女性(当時は少女)のことが忘れられず北へと旅立っていく。すでに70歳に近くなってからの旅なので死出の旅とも言える。 決してわくわくどきどきするような話ではないが、人生=旅ということ、男はロマンを追いかけるものだなどということを考えさせられた。

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内容(「BOOK」データベースより)
北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

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