著者は元外務省の官僚で、チェコの大使館に在勤中に「プラハの春」の民主化運動を経験し、「プラハの春」でデビューした。
執筆のきっかけは、背景に中国公安の脅迫があったとされる「在上海日本総領事館員自殺事件」だそうだ。中国の諜報機関はアメリカのCIAはもちろんのこと旧ソ連のKGBをも凌ぐといわれており、その実態を窺うことができる。もともと密告社会ともいわれており恐ろしさを感じてしまう。
上海クライシスというタイトルだが、新彊ウィグル自治区でのテロ事件を発端にし、アフガニスタンやアメリカ、日本、上海を舞台にして話が展開していく。少数民族問題、イスラム問題なども取り込んで、中国という国の恐ろしさや危なさを描いている。
参考情報
http://kigyoka.com/kigyoka/public/article/article.jsp?id=2058
内容(「BOOK」データベースより)
上海クライシス(上)
新彊ウィグル自治区のウルムチで、中国からの分離独立を求めるイスラム系過激派による自爆テロが起きた。主犯格の少年は、かろうじてカラコルム山脈を越境して逃亡を計る。少年の妹も、ある密命を帯びて故郷を離れ、遠い上海へ身を潜める。それは、来るべき中国内乱への序章に過ぎなかった―。上海で実際に起きた事件を下敷きにした話題作を、大幅改稿して贈るスペクタクル・ロマン。
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上海クライシス(下)
上海でウィグル族の美しい女性ライラと出会った日本総領事館員の香坂は、中国公安の仕掛けた汚い罠に陥る。一方、テロリストの陰謀を察知した秘密工作員ヤマンは、ビジネスマンに扮して上海へ赴く。運命に導かれて、香坂、ライラ、ヤマンがついに上海で邂逅する。魔都・上海で、何が起ころうとしているのか。中国の腐敗した「柔らかい腹」を切り裂く筆致で、中国の内乱を予見した大作の完結編。
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