“イン・ザ・プール” by 奥田英朗(文春文庫)

イン・ザ・プール (文春文庫)

  

神経科医師伊良部シリーズの短編集第1作。
現代人が陥りそうな心の病を抱えた「患者」を「神経科医師伊良部」が治療していくという設定だ。表面的には伊良部と看護婦マユミの常識を越えた治療法や言動がおもしろいのだが、患者を通じてストレスに晒されて生きている現代人を皮肉り、そういう患者が出現する現在を風刺していると感じる。
一見無謀な治療だが核心を突いているところが、また惹かれるところでもある。
それにしても、このシリーズのカバーに逆さに移っている赤ん坊は何を意味しているのだろうか??

・イン・ザ・プール
 心身症治療のため水泳にのめり込み水泳依存症になってしまった編集者
・勃ちっ放し
 うっぷんのはけ口がなくため込んでいたため陰茎剛直症になってしまった会社員
・コンパニオン
 自意識過剰でストーカー被害妄想になってしまったコンパニオン
・フレンズ
 他人に嫌われたくない、無視されたくない、仲間であると思い込みたい、そのためにケータイなしでは生活できなくなった携帯依存症の高校生
・いてもたっても
 タバコの火による火災、漏電による火災が心配で心配でいてもたってもいられなくなるルポライター

内容(「BOOK」データベースより)
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。


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