“人類を幸せにする国・日本” by 井沢元彦(祥伝社新書)

人類を幸せにする国・日本(祥伝社新書218)

店頭で見かけて即購入した。無意識のうちに明るい話題を求めていたのだと思う。井沢氏も終章で「日本は元気をなくしている、そんな状況の日本人に活を入れたい」という気持ちで書いたと述べている。
日本人が人類の幸福と発展のために貢献してきた役割は非常に大きいが、そのことを当の日本人が一番知らない。もちろん、イギリスBBC放送が行った「世界に貢献している国」として2006年から3年連続で日本がダントツだということも知らない。
著者は、ものづくり、食べ物、日本文化、国際貢献の各分野ごとに、日本人が作り上げて世界に広めた技術や文化を詳細にレポートし、日本人に「自信を持て」と呼びかけている。自動車や電気製品など日本製品が世界中で使われていることはよく知られているが、それは日本企業が「自社の利益のため」にやっていることであって、「世界に貢献しているとは言えない」と思いがちだ。エコノミックアニマルという言葉のように自虐的に考えてしまうところがある。しかし、企業の利益も上げながら、世界中の人達が便利な生活を送れるように貢献していると考えるべきなのだ。
そして本書の最後では、今後日本が開発すべき技術として、iPS細胞による再生医療、生活サポートロボット、海水淡水化を挙げており、さらに世界に先駆けて高齢化社会の模範スタイルを作れば良いと述べている。
さらにもう一点、原子力発電に関して、日本には唯一の被爆国として原子力発電も許さないという考え方があるが、世界規模で今後のエネルギー需要を考えると、原発が建設されるのは間違いない。そういう前提で、より安全な原発が建設されるように日本が率先して原子力発電の安全性向上に取り組むべきという意見を述べているが、この意見には大いに賛同する。

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内容(「BOOK」データベースより)<br />
「他の民族は科学や技術を、戦争の武器のように自分の利益を追求する道具にしている。けれど、日本人はそれを人類を幸せにするために使ってきた」。 そう主張する著者は、日本人の発明発見によるモノが、いかに世界の幸福に貢献したかを独自の史観で検証する。ホームビデオ、トランジスタラジオ、電卓、ウォークマン、新幹線、乾電池、胃カメラ、カラオケ、インスタントラーメン・・。 これらが出現する以前と以後では、人々の暮らしは一変し、もう元の不便な生活には戻れなくなった。 過去だけではなく、iPS細胞、次世代ロボット、海水淡水化など、世界が期待を賭ける新技術は、輝かしい未来を約束している。 『逆説の日本史』に見る井沢史観に裏打ちされた、ユニークな日本人論!
日本史を独自の史観で分析してきた井沢元彦が、戦後の日本の成長の秘密に切り込みます。なぜ日本人は奇跡の経済成長を成し遂げたのか。そのヒントが本書にあります。

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