“アフリカ・レポート 壊れる国、生きる人々” by 松本仁一(岩波新書)

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)

  

普通の生活の中でアフリカに関わることは滅多にない。マラソンなどのスポーツ選手をTVでみることはあるが、一般の人々の生活やまして政治がどうなっているかなどほとんど情報がない。
紛争や飢餓問題があることは知っていたがこれほどまでひどいとは知らなかった。
順調な国づくりが進んでいるのはボツワナくらい、政府が未熟なため国づくりの進度が遅いのは10カ国程度、残りは政府幹部や指導者が利権を追い求めるだけか、もともと国づくりなど考えていない状態だという。
いわゆる独裁政権が多く自身の不正を隠すために部族間紛争を引き起こしたり、国連などからの指摘に対してはレシズム(人種差別)だといって切り返し、私腹を肥やすことだけを考えている。
植民地時代に線引きされた国境は元々の部族のことなど考えていないから多数民族と少数民族の問題が起こる。
一方で、政府に頼らず自立しようとする人々のことも紹介してある。その中にはケニアナッツ社社長、ウガンダのシャツメーカー社長などの日本人もいるそうだ。ウガンダでシャツといえば「ヤマト」なのだとか。クロコダイルで有名なヤマト・インターナショナルのことだ。
ただ単に、カネやモノを与えて支援してもその場限りで、カネやモノがなくなれば元に戻ってしまう。「やる気」を起こすしくみ作りが必要であることが力説してある。


【目次】(「BOOK」データベースより)

序章 アフリカの今―ルムンバの夢はどこへ行ったか/
第1章 国を壊したのは誰か―ジンバブエで/
第2章 危機に瀕する「安全」と「安心」―南アフリカ共和国で/
第3章 アフリカの中国人―南アで、アンゴラで、スーダンで/
第4章 国から逃げ出す人々―パリで、歌舞伎町で/
第5章 「人々の自立」をめざして ―農村で、都市スラムで/
第6章 政府ではなく、人々に目を向ける―ケニアで、ウガンダで、セネガルで

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
豊かなジンバブエの農業を一〇年で壊滅させ、アパルトへイトを克服した南ア共和国を犯罪の多発に悩む国にしたのは誰か。中国の進出、逆に国を脱出するアフリカ人の増加などの新しい動きを追い、同時に、腐敗した権力には頼らず自立の道を求めて健闘する人々の姿も伝える。三〇年近いアフリカ取材経験に基づく、人間をみつめた報告。


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