“会社の品格” by 小笹芳央(幻冬舎新書)

会社の品格 (幻冬舎新書)

会社の品格  

著者は、モチベーションエンジニアリングという手法で企業変革や活性化のコンサルティングを行っている方だそうだ。「良いこと」というよりは「当然のこと」が書かれていると思うが、現実には当たり前のことが出来ていないことが多いので、改めて会社について、組織について考えるのに役立った。

著者は「おわりに」の中で誰もが当事者意識を持つことが重要で、社員一人ひとりが「会社の品格」に責任を持つべきと言う。これは全くその通りだと思うが、最近は「会社は株主のもの」という理屈を言う者がいて、当事者意識を持つことを妨げようとする考え方が横行しつつあるのも事実だ。
また著者は、若くして成功した事業化や資産家に対する社会の目が優しくない、その分だけ税金を払って国家に貢献しているのだから、それを賞賛すべきと言う。これは誰のことを思い描いて言っているのかはわからないが、きちんと努力して技術力を付けて事業を興して成功したのであれば賞賛すべきだが、企業買収や株の操作などで大金を得たような輩を賞賛する気にはなれない。
この本の執筆は2007年9月で、ホリエモン事件は2005年頃だから、まさかホリエモンのことではないと思うが、この「おわりに」を見たとたんに、しらけた気持ちになってしまった。

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本書では、会社の品格として、組織の品格、上司の品格、仕事の品格、処遇の品格を挙げている。

組織の品格
 「売り上げ」は市場での共感の総量。「利益」は市場から与えられた未来。
 社員が事業メッセージを共有し、金銭報酬以外に共感しているか
 組織の問題は「人」ではなく「間」に起こる、血流に相当するコミュニケーション滞っていないか
 カリスマ依存症
 戦闘疲弊症
 マネジメント不全症
 視野狭窄症
 顧客視点欠落症
 当事者不在症候群
 既決感蔓延症
 セクショナリズム横行症

上司の品格
 上司の役割は、コミュニケーションの結節点
 品格のある上司は、自分の頭で考える
 品格のある上司のコミュニケーションは報酬になる
 品格のある上司は、物事を色メガネで見ない
 品格のある上司は、マイナス情報にも耳を傾ける
 品格のある上司は、数値化できない事柄でも鋭い嗅覚で判断する
 品格のある上司は、腹をくくってリスクを恐れない
 品格のある上司は、両手を広げている
 品格のある上司は、現場に足を運ぶ
 ダメ上司にイエローカードを出せるしくみが必要
 部下が上司としての正当性を確認し納得できる場が必要

仕事の品格
 「外部適応」と「内部統合」のバランスが大事
  外部適応:外部の市場に適応し成果を上げていくために役割を細分化すること
  内部統合:細分化された業務を担う人材のモチベーションを極大化すること
 納得感のある仕事:自社の商品を喜んで買いたいと思えるか
 使命感のある仕事:石を積んでいるだけか、教会を造るための作業をしているのか
 効力感のある仕事:改善改良一所懸命から変革創造一攫千金へ
 普遍性のある仕事:組織内でしか通用しないスキルはリスクになる
 貢献感のある仕事:組織内で機能の細分化が進むと想像力が働かなくなる
 季節感のある仕事:日本の組織は、心改まる機会をわざわざ作り活用してきた

処遇の品格
 従来のワークモチベーションは、カネとポスト「金銭報酬」だった、ハングリーだったので効果があった
 モチベーションクライシスが起こり、成果主義はカネとポストの配分ルールに過ぎないことが明確になった
 今後は「意味報酬」に重点を置く必要がある。


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