「衆愚」という言葉に聞き覚えがあったが、ギリシャの「衆愚政治」だった。判断力が乏しい多数の愚民による政治のことで、愚かさゆえに政策が停滞してし
まったり、愚かな政策が実行される状況をさす。
この本でいう「衆愚」とは、TVや新聞などマスゴミの影響を受けやすく、具体的なことはよく分からないままその意見を受け入れてしまうような人達
を指していると思われる。小泉政権下では、これらの主婦層・高齢者層・若者層のことを「B層」と呼んだ。この本は「衆愚」=「B層」を痛烈に皮肉った内容
となっている。
読みながら「そうだそうだ」と納得できる部分も多かったが、後ろの方の民主党批判の部分には疑問を感じた。著者自身がマスゴミの「民主党バッシン
グ」につられて批判しているように感じられた。自らを「衆愚」と言っているようなものだ。
主な内容は下記。
テレビのキャスターやコメンテーターの言うことを鵜呑みにして自分で考えることをしない
消費者が安い商品を求めるから派遣社員が生まれ、派遣切りも発生するのは当然だ
また、正社員としての勤め方を嫌って、自由に生きると言って派遣社員になった者もいる
フリーターに市民権を与えた 昔は「プータロー」と呼ばれ恥ずかしいものだった
弱者は常に正しいのか 責任を放棄しておいて困ったときだけ弱者への救済を求めるのか
株や金融商品は博打だと覚悟して
若者は老人より優れているのか 使えない若者、使える老人
家は資産にはならない 値下がりするものだ
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内容(「BOOK」データベースより)
いつの間にか、この国では偽善的言説が「正論」になってしまった。負担は先送りして「国民のみなさま」にバラマキを約する政治家、セレブ生活を棚に上げて「CO2削減」を訴えるテレビキャスター、「誰もが望んだ仕事につける社会を」と空論を述べる新聞記者…。誰も本当のことを言わないのなら私が言おう、社会人なら心得ておくべき「当然の常識」を。思わず溜飲の下がる、衆愚の時代への鉄槌。
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【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 派遣切りは正しい
第2章 欲望を知らない子供たち
第3章 夢という名の逃げ道
第4章 サラリーマンは気楽な稼業ではない
第5章 まだ株屋を信用しますか
第6章 非成長時代の身の処し方
第7章 老人専用テーマパークを作ろう
第8章 「弱者の視点」が国をダメにする
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