金儲けのことしか頭にない商売人が書いた本
著者はユニクロブランドを世界的立ち上げたファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長だ。ユニクロと言えば25年以上前九州北部の市街地から離れた国道沿いに店舗があったことを覚えている。ほとんど知られていなかったので立ち寄ったことはなかったが、現在のような企業に発展するとは想像もできなかった。
実は、本書のタイトルを見たとき世界的小売企業のトップとしてもう少しまともなことが書かれているのかと期待して購入したのだが、「はじめに」を読んでもわかるように根っからの商売人(金儲けしか頭にない人間)が書いた本でしかなく残念である。
まず、震災原発事故に関して、程度を超えた自粛、自主規制が行われ、店の明かりが消えることによって景気が悪くなると批判している。しかし、必要以上の照明を減らし電力(エネルギー)の無駄をなくすことは今の日本にとって最重要事項である。日本国民の将来に亘っての安全を脅かす原発の依存度を下げ、脱原発を目指さなければならない。もともと日本の店舗の照明は明るすぎたのだ。また、無用なネオンサインや照明付き看板などが多すぎたのだ。著者の主張は「照明をつけ、客を呼び込み、金を儲けることが大切だ」である。もっと言えば、ユニクロ製品は海外で製造されているので、販売量が増えても国内製造業の雇用が増えるわけでもなく、単にユニクロや著者が儲かるだけなのだ。
次に、国の借金がどれほどあるのかの話では呆れてしまった。国内の金融機関が「国債を購入する」ことによって、日本政府にお金を貸し付けておりその金額が膨大な額にのぼるのが真実だが、著者の言い方は、財務官僚やマスゴミと同じく日本が借金まみれで破綻すると言っているのだ。まさに、消費費税アップの口実に使われているのだが、著者は「日本の法人税は高すぎる、下げるべき」と言っている。消費者に負担を押し付け企業は楽をしようなんてとんでもない輩である。
さらに呆れ果てたのは、菅首相(すでに首相の価値なし)に会いTPP参加を訴えたのだとか。TPPとは何かを知っているのか。関税自主権を放棄するということがいかに危険なことかがわかっているのか。農業だけがダメージを受けるようなことしか書かれていないが、所詮著者はその程度のことしか知らないのだと認識した。
最後に、日本語の文章では「ですます調」と「である調」は混在しないのが常識だが、本書では混在して使用されており、違和感を感じた。
—-
内容紹介
ユニクロのカリスマ経営者が、元気のない日本のビジネスマンに向けて語る仕事論。人生は自分が主役だという信念を持ち、自分に期待すれば、どんなときでも希望を持つことはできる。自分に期待して、自分が人より少しでも得意な部分を探し、一生懸命に磨くことで必ず活路は開ける。業種、業界を問わず、すべてのビジネスマンに役立つ仕事に取り組む姿勢、ヒントが満載!
—-
内容(「BOOK」データベースより)
人は希望がなければ生きていけない。希望を持つには、人生は自分が主人公だと信念を持ち、自分に期待することだ。―「どうせ自分なんて」ではなく、「自分はこんなことができるのではないか」と自分に期待し、人より少しでも得意な部分を探す。そして、そこを一生懸命に磨けば、必ず活路は開ける。ユニクロの経営者が全てのビジネスマンに贈る仕事論。
コメント