"その日本語が毒になる!" by 吉村達也(PHP新書)

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その日本語が毒になる! (PHP新書 521)

その日本語が毒になる!  

吉村達也氏は、ニッポン放送プロデューサー、扶桑社編集長などを経てミステリー作家になった方だそうだが、それは知らなかった。店頭でタイトルが気になって手に取り、パラパラと見ておもしろそうだと思い購入した。

著者の日本語に対する指摘は、次のようなものだ。
・日本人にとって、言葉は真実を伝える手段ではなく、感じの良い自分を演出するものになっている。
・コミュニケーションとは、違いや考え方を認識し合うことであり、仲良くなることではない。率直に自分の考えや意見を伝え、違いを認識できるようなコミュニケーション、人間関係が正常である。
・日本語は真のコミュニケーションを行うときに使い勝手の悪い言語である。思っていることを率直に伝えにくい、本音をごまかしたり、相手を皮肉ったりする表現が多い。具体的に「偽り」や「毒」をふくむ表現例として「何様のつもりだ」「いかがなものか」「親の顔が見たいものだ」など。また、おかしな日本語表現の例として「責任者を出せ」「二度とこういうことが起こらないようにしたい」「こんにちはとこんばんはには丁寧語表現がない」「訴状が届いていないのでコメントできない」など。さらに、怖がりながら使う日本語として「お言葉を返すようですが」「あくまで個人的な意見ですが」「子供に何と説明したらよいか」「ダメなものはダメ」なども挙げている。
・日常的に行われている日本語コミュニケーションから、「偽り」や「毒」を取り除くことが必要である。「偽り」や「毒」を含む日本語コミュニケーションの典型例として、匿名のネット上のコミュニケーションを指摘している。

作家という立場から「言語の欠陥」と指摘したのだろうが、言い換えれば「日本的コミュニケーションの欠陥」ということなのだろうと感じた。以心伝心やツーカーなど言葉にしなくても相手に気持ちが伝わることを良しとし、当たり障りのない言葉で本音を隠しつつ皮肉を込めることを無意識に行っている自分の姿も再認識してしまった。

最後に、人生をスキーヤーにたとえ、視界ゼロの冬山を滑走して行くもので、想定外のことが起こるのが当たり前、生まれてきたことを楽しむ気持ちが必要、最後に到達するのは誰でも死である、という。
最後に座右の銘を含む「心のクスリになる七つの言葉」を示している。【最悪は最良の伏線】【伸びきった膝ではジャンプできない】【苦労は楽しんでいる世界だけに存在する】【病は変化への健全な対応である】【過去と未来は自分の頭だけに存在する】【実現不可能でも「夢」は持つべきだ】【天国で会おう】

最近の新書のタイトルの傾向としてネガティブなものが多いように感じる。本書も「毒がある」というタイトルだが、著者は最後に、人生を視界ゼロの冬山を滑 走して行くスキーヤーにたとえ、想定外のことが起こるのが当たり前、生まれてきたことを楽しむ気持ちが必要とポジティブに締めくくっている。

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
本格的なネット時代を迎え、ますます過激化する一方の「言葉の暴力とウソ」。食品だけでなく、何気ない日常会話にも、偽装と毒はひそんでいる。「何様のつもりだ」「おまえが言うな」「いかがなものか」「だから日本人は」「生理的にキライ」「不正はなかったと信じたい」―言っても言われても、心が傷つく不用意な言葉の数々。ミステリー作家の著者が日本語特有の落とし穴を鋭く指摘し、人格急変のトリックも浮き彫りにしながら綴る、殺伐とした世の中で自分の心を守るための目からウロコの精神衛生本。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 人は言葉で病気になる―ネットの病理は昔からある人間の本質だ
第2章 人間性を疑われる日本語―言葉で人を攻撃しているときがもっとも見苦しい
第3章 普通のようで変な日本語―何気なく使ってしまう言葉にひそむ落とし穴
第4章 怖がりながら使う日本語―そんなに相手の反応が恐ろしいのか
第5章 人格のトリックを知る―白から黒へと人の性格が急変するほんとうの理由
第6章 人は言葉で健康になる―クスリになる日本語を常備しておく

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このページは、yafoが2009年6月21日 11:37に書いたブログ記事です。

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