2009年6月アーカイブ

検証 国家戦略なき日本 (新潮文庫)

  

2006/11/22に発売された同名の単行本が文庫化されたものだ。従って内容は2006年当時のものだが、各章の最後に[追記]があり、その後の状況が説明してある。非常に簡単な説明だが好感を感じた。
「はじめに」を読むと、なぜ政治部記者が畑違いの科学技術に関して取材を始め、このような本としてまとめたのかということが熱く語られている。
科学技術、海洋開発、天然資源、安全保障、基礎学力に分けて説明されているが、全体に共通することは、
・国益ではなく省益しか考えない官僚(縦割り省庁の弊害)
・科学技術のことはわからない財務官僚が予算を決めている
・科学技術を理解していない政治家が判断している
と思われ、そういう意味では政治部記者がこの問題を取り上げるのはもっともなことだと感じた。
この中では縦割り省庁の体制にどっぷりと漬かった省益優先、事なかれ主義、責任転嫁の官僚の問題が一番大きそうである。
また、国家戦略とは他国に対して戦略に基づき働きかけ納得させる必要があると思われ、外交能力が非常に重要だと再認識した。
いずれの章でも中国の台頭に触れられており、そのしたたかさに改めて脅威を覚えた。おそらく日本の政治や外交にしたたかさは求めにくいと思われるため、中国などの追い上げに対抗できるような確固たる科学技術の確立とそのための戦略が必要だと感じた。

http://www.shinchosha.co.jp/book/136771/

【内容情報】(新潮社HPより)
国家危機の実像を今こそ直視せよ。安全保障、資源確保、科学政策......、次の総理、必読!
この国の危機の本質は、その針路さえ決めずにいる戦略不在にある──。無資源国でありながら資源確保に遅れをとり、安全大国はもはや幻想となり、科学立国を標榜しながら政策はぐらつき、知財の基盤もゆらいで人材が流出して行く......。国家戦略という視点から、世界の中の日本を多面的に取材した驚愕のレポート。未来に希望を見出だせるのか。今こそ現状を直視しなければならない。

【目次】(新潮社HPより)
はじめに
第1章 科学技術立国の危機
海亀派が牽引する「創新」/宇宙開発も外交手段/2年で陥落した最速スパコンの座/崩れる先端技術の足元/低調な日本のES細胞論議/ゲノム敗北から何を学んだか/ゲノム創薬競争に勝てるか/先行された分子イメージング/気象観測「空白」の危機/ぐらつく国家の意思/影を落とす軍事アレルギー/国政に必要な科学的知見
第2章 漂流する海洋国家
竹島近海での衝突/韓国の周到な海底地名戦略/出遅れた海洋政策/海洋調査、30年の空白/シンプン号事件の悪しき決着/好漁場はなぜ奪われたのか/EEZは「青い国土」/世界の潮流を読めない国/『海猿』への脚光は本物か/外国人船員頼みの海上輸送/" 座礁"寸前の船員教育/LNG船の安全は誰が守るのか/中・韓に敗北した港湾競争/国益無視の港湾行政/国際管理されるマグロ漁/「巨大魚食国」中国の台頭/一国では守れない海の恵み
第3章 自覚なき無資源国
資源を爆食する国/ショッキングな二通りの未来図/中国に牛耳られるレアメタル供給/過熱する資源外交/マラッカ海峡の海賊/思惑絡むシーレーン防衛/脚光浴びる海底資源/沖ノ鳥島が注目される理由/既成事実化される東シナ海開発/省エネ技術を対中戦略に/世界の流れは原子力回帰/政策転換を狙った怪文書/根拠なき国策への"拒否権"/再処理施設は日本の特権/しのぎを削る燃料電池開発
第4章 安全大国の幻想
20年不在のP4施設/「日本は生物テロ容認の国」/心もとない感染症研究の現状/必要な「宝」を生かすネットワーク/生かせぬ最新の地震被害予測/外圧で動いた原発防護策/手つかずの内部脅威対策/不安残る港湾テロ対策/監視カメラ活用は設置者任せ/情報セキュリティーへの低い意識/首相に伝えられなかった情報/情報戦争の最前線/軍事アレルギーの壁
第5章 揺らぐ知力の基盤
覗かれていた特許情報/偽物が本物を駆逐する/知的人材を求めての中国進出/進まない大学の自己改革/外国人研究者が近づけない「知の鎖国」/一貫性欠く対留学生政策/海外誌投稿が招く研究成果流出/国家レベルの標準化戦略/「匠の技」を狙うアジア各国/酷使される「川上」産業/「メイド・イン・ジャパン」の危機/人材は国力のかなめ
おわりに
この国に潜む「禍機」の再検証――文庫版あとがきにかえて――
解説 小林良彰

6月22日は休暇を取って鎌倉の大仏を見に行った。茅ヶ崎に住んで10年になるのに行くのは初めてだ。あいにく小雨模様で平日にもかかわらず、観光客(特に外国人の方が多かった)も多かった。大仏の左足付け根付近に入り口があって中に入ることができる。内側が空洞になっているとは知らなかった。

その後、長谷寺で紫陽花を見て帰った。

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その日のTV番組「桑田佳祐の音楽寅さん」では、桑田佳祐の出身校「鎌倉学園」のある鎌倉を舞台に懐かしいRock/Popを歌っていた。
・The Weight / The Band
・Tight Rope / Leon Russell
・I Shot The Sheriff / Bob Marley
・Heart Of Gold / Niel Young
・It's Too Late / Carole King

会社の品格 (幻冬舎新書)

会社の品格  

著者は、モチベーションエンジニアリングという手法で企業変革や活性化のコンサルティングを行っている方だそうだ。「良いこと」というよりは「当然のこと」が書かれていると思うが、現実には当たり前のことが出来ていないことが多いので、改めて会社について、組織について考えるのに役立った。

著者は「おわりに」の中で誰もが当事者意識を持つことが重要で、社員一人ひとりが「会社の品格」に責任を持つべきと言う。これは全くその通りだと思うが、最近は「会社は株主のもの」という理屈を言う者がいて、当事者意識を持つことを妨げようとする考え方が横行しつつあるのも事実だ。
また著者は、若くして成功した事業化や資産家に対する社会の目が優しくない、その分だけ税金を払って国家に貢献しているのだから、それを賞賛すべきと言う。これは誰のことを思い描いて言っているのかはわからないが、きちんと努力して技術力を付けて事業を興して成功したのであれば賞賛すべきだが、企業買収や株の操作などで大金を得たような輩を賞賛する気にはなれない。
この本の執筆は2007年9月で、ホリエモン事件は2005年頃だから、まさかホリエモンのことではないと思うが、この「おわりに」を見たとたんに、しらけた気持ちになってしまった。

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本書では、会社の品格として、組織の品格、上司の品格、仕事の品格、処遇の品格を挙げている。

組織の品格
 「売り上げ」は市場での共感の総量。「利益」は市場から与えられた未来。
 社員が事業メッセージを共有し、金銭報酬以外に共感しているか
 組織の問題は「人」ではなく「間」に起こる、血流に相当するコミュニケーション滞っていないか
 カリスマ依存症
 戦闘疲弊症
 マネジメント不全症
 視野狭窄症
 顧客視点欠落症
 当事者不在症候群
 既決感蔓延症
 セクショナリズム横行症

上司の品格
 上司の役割は、コミュニケーションの結節点
 品格のある上司は、自分の頭で考える
 品格のある上司のコミュニケーションは報酬になる
 品格のある上司は、物事を色メガネで見ない
 品格のある上司は、マイナス情報にも耳を傾ける
 品格のある上司は、数値化できない事柄でも鋭い嗅覚で判断する
 品格のある上司は、腹をくくってリスクを恐れない
 品格のある上司は、両手を広げている
 品格のある上司は、現場に足を運ぶ
 ダメ上司にイエローカードを出せるしくみが必要
 部下が上司としての正当性を確認し納得できる場が必要

仕事の品格
 「外部適応」と「内部統合」のバランスが大事
  外部適応:外部の市場に適応し成果を上げていくために役割を細分化すること
  内部統合:細分化された業務を担う人材のモチベーションを極大化すること
 納得感のある仕事:自社の商品を喜んで買いたいと思えるか
 使命感のある仕事:石を積んでいるだけか、教会を造るための作業をしているのか
 効力感のある仕事:改善改良一所懸命から変革創造一攫千金へ
 普遍性のある仕事:組織内でしか通用しないスキルはリスクになる
 貢献感のある仕事:組織内で機能の細分化が進むと想像力が働かなくなる
 季節感のある仕事:日本の組織は、心改まる機会をわざわざ作り活用してきた

処遇の品格
 従来のワークモチベーションは、カネとポスト「金銭報酬」だった、ハングリーだったので効果があった
 モチベーションクライシスが起こり、成果主義はカネとポストの配分ルールに過ぎないことが明確になった
 今後は「意味報酬」に重点を置く必要がある。



その日本語が毒になる! (PHP新書 521)

その日本語が毒になる!  

吉村達也氏は、ニッポン放送プロデューサー、扶桑社編集長などを経てミステリー作家になった方だそうだが、それは知らなかった。店頭でタイトルが気になって手に取り、パラパラと見ておもしろそうだと思い購入した。

著者の日本語に対する指摘は、次のようなものだ。
・日本人にとって、言葉は真実を伝える手段ではなく、感じの良い自分を演出するものになっている。
・コミュニケーションとは、違いや考え方を認識し合うことであり、仲良くなることではない。率直に自分の考えや意見を伝え、違いを認識できるようなコミュニケーション、人間関係が正常である。
・日本語は真のコミュニケーションを行うときに使い勝手の悪い言語である。思っていることを率直に伝えにくい、本音をごまかしたり、相手を皮肉ったりする表現が多い。具体的に「偽り」や「毒」をふくむ表現例として「何様のつもりだ」「いかがなものか」「親の顔が見たいものだ」など。また、おかしな日本語表現の例として「責任者を出せ」「二度とこういうことが起こらないようにしたい」「こんにちはとこんばんはには丁寧語表現がない」「訴状が届いていないのでコメントできない」など。さらに、怖がりながら使う日本語として「お言葉を返すようですが」「あくまで個人的な意見ですが」「子供に何と説明したらよいか」「ダメなものはダメ」なども挙げている。
・日常的に行われている日本語コミュニケーションから、「偽り」や「毒」を取り除くことが必要である。「偽り」や「毒」を含む日本語コミュニケーションの典型例として、匿名のネット上のコミュニケーションを指摘している。

作家という立場から「言語の欠陥」と指摘したのだろうが、言い換えれば「日本的コミュニケーションの欠陥」ということなのだろうと感じた。以心伝心やツーカーなど言葉にしなくても相手に気持ちが伝わることを良しとし、当たり障りのない言葉で本音を隠しつつ皮肉を込めることを無意識に行っている自分の姿も再認識してしまった。

最後に、人生をスキーヤーにたとえ、視界ゼロの冬山を滑走して行くもので、想定外のことが起こるのが当たり前、生まれてきたことを楽しむ気持ちが必要、最後に到達するのは誰でも死である、という。
最後に座右の銘を含む「心のクスリになる七つの言葉」を示している。【最悪は最良の伏線】【伸びきった膝ではジャンプできない】【苦労は楽しんでいる世界だけに存在する】【病は変化への健全な対応である】【過去と未来は自分の頭だけに存在する】【実現不可能でも「夢」は持つべきだ】【天国で会おう】

最近の新書のタイトルの傾向としてネガティブなものが多いように感じる。本書も「毒がある」というタイトルだが、著者は最後に、人生を視界ゼロの冬山を滑 走して行くスキーヤーにたとえ、想定外のことが起こるのが当たり前、生まれてきたことを楽しむ気持ちが必要とポジティブに締めくくっている。

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
本格的なネット時代を迎え、ますます過激化する一方の「言葉の暴力とウソ」。食品だけでなく、何気ない日常会話にも、偽装と毒はひそんでいる。「何様のつもりだ」「おまえが言うな」「いかがなものか」「だから日本人は」「生理的にキライ」「不正はなかったと信じたい」―言っても言われても、心が傷つく不用意な言葉の数々。ミステリー作家の著者が日本語特有の落とし穴を鋭く指摘し、人格急変のトリックも浮き彫りにしながら綴る、殺伐とした世の中で自分の心を守るための目からウロコの精神衛生本。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 人は言葉で病気になる―ネットの病理は昔からある人間の本質だ
第2章 人間性を疑われる日本語―言葉で人を攻撃しているときがもっとも見苦しい
第3章 普通のようで変な日本語―何気なく使ってしまう言葉にひそむ落とし穴
第4章 怖がりながら使う日本語―そんなに相手の反応が恐ろしいのか
第5章 人格のトリックを知る―白から黒へと人の性格が急変するほんとうの理由
第6章 人は言葉で健康になる―クスリになる日本語を常備しておく

Movable typeでスクリプト内にコメントを入れる場合は、MTIgnoreタグで括れば良いとのこと。
MTIgnoreタグでコメントアウトすれば、再構築時に処理対象とされないため、HTMLソースに残ることはない。

<MTIgnore>
コメント
</MTIgnore>

なお、HTMLのコメントアウト(<!-- ? -->)を使う方法もあるが、これだと再構築時にHTMLソースに出力されて残ってしまうのだそうだ。

参考
 http://www.movabletype.jp/documentation/appendices/tags/ignore.html
 http://www.mtde.info/0605variable/var_130.php

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