2010年5月アーカイブ

検察の正義 (ちくま新書)



特捜検察に正義はない、また存在意義はない

著者は、理学部出身、民間企業を退職し独学で司法試験に合格、検察官に任官、さらに23年後に退官したという異色の経歴の持ち主だ。
自らの検察OBとしての経験に基づき、検察の問題点を指摘し痛烈に批判している。特に特捜検察の組織、体質、捜査手法に大きな問題があるということが明らかにされている。著者も、検察官として特捜部の応援をした際に幻滅したという。贈収賄、粉飾決算、株取引などの経済事犯を扱う特捜部の検事達は専門知識がほとんどないということに驚くというより呆れるしかない。
刑事部の刑事事件は一人の検事が責任を持って起訴か不起訴を決定するのに対して、特捜部は集団で取り組む。とは言ってもチームワークや情報共有などはなく、特捜部長などが作り上げた筋書きに合うような供述を、検事が指示通りに取っていくというやり方だそうだ。警察と違って捜査網を持っていないため、被疑者の親類や知人を片っ端から任意聴取という名の強制取り調べをして、検察の筋書きに合うような供述をさせて、事件を作り上げるという。これが、冤罪が作られる背景であり、かつての特高警察や共産圏の警察を思わせるような捜査取り調べ手法である。
特捜部は、国民から喝采を浴びるような「巨悪を暴き懲らしめる特捜部」を演じることを強く意識しているのだという。これが「検察の正義」の実態だ。
最終章で長崎地検次席検事として取り組んだ自民党長崎県連事件について述べている。それを「長崎の奇跡」と呼ぶのはどうかという気もするが、検察の組織の中では画期的な捜査だったそうだ。しかし、この良い事例は検察の組織の中で活用されることもなく、著者も捜査の第一線から遠ざけられてしまった。事なかれ主義、前例主義の官僚の世界とはこういうものだ。

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内容(「BOOK」データベースより)
理学部出身、鉱山会社を辞めて独学で司法試験に合格した「変わり種」が、さしたる動機も思い入れもなく、無理やり引きずり込まれた検察の世界。そこで目にしたのは、刑事司法の「正義」を独占してきた検察が社会・経済の構造変革から大きく立ち後れている姿だった。談合事件やゼネコン汚職などで「組織の論理」への違和感に悩んだ末に辿り着いた自民党長崎県連事件。中小地検捜査の常識を超える「長崎の奇跡」だった。こうした経験から、政治資金問題、被害者・遺族との関係、裁判員制度、検察審査会議決による起訴強制などで今大きく揺れ動く「検察の正義」を問い直す。異色の検察OBによる渾身の書。

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カバーの折り返し
ルール違反に対する制裁としての刑事罰の適用には、従来のような検察の組織内で完結した「検察の正義」中心の発想だけでは適切に対応できない(本文より)
社会や経済の複雑化・多様化に対応できていない検察。問題はどこにあり、どうすれば解消できるのか。
法令遵守ではなく、社会的要請に応えるとは、どういうことか。
コンプライアンス論の原点が、ここにある!

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目次
序章 私にとって検察とは
第1章 私が見てきた検察
第2章 日本的刑事司法の構造と検察
第3章 経済検察への展開と「迷走」
第4章 政治資金捜査 の行きづまり
第5章 揺らぐ「検察の正義」
終章 「長崎の奇跡」

劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))



少し前に映画化されて話題になっていたので読んでみた。
副題の「点の記」とは何かが分からず気になっていたのだが、「点の記」とは、地図作成のための基準となる三角点の設置記録資料で、一等三角点~三等三角点の場合に作成されるものということだ。国土地理院には永久保存資料として保存されている大変貴重なものである。
この本の主人公柴崎芳太郎氏は、国土地理院の前身である当時の参謀本部陸地測量部の測量手として、苦労の末劔岳登頂に成功したが、四等三角点しかしか設置できなかったため、公式な「点の記」は作成されなかった。新田次郎は、柴崎芳太郎氏の功績を残すため、この小説を「劔岳点の記」と命名し、公式「点の記」に代わる資料としようと考えたのではないかと思われる。
測量手の柴崎芳太郎、測夫の木山竹吉、生田信、案内人の宇治長次郎など、それぞれが自分の任務・役割を果たすために一致協力する様がよくわかる。また、柴崎の奥さんの葉津よさんの健気なかわいらしさも行間から伝わってくる。
前人未踏と言われていた劔岳山頂には、錫杖の頭と剣が残されていて、奈良時代の修験者が登頂し残していたのではないかということだが、この事実にも驚かされる。

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誰かが行かねば、道はできない。日本人の心がここにある。明治40年、前人未到の劒岳に三角点を設置すべく初登頂に挑んだ男たちを描いた名作を、映画公開に先がけて読みやすくした〈新版〉
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
日露戦争直後、前人未踏といわれ、また、決して登ってはいけない山と恐れられた北アルプス・劔岳。測量官・柴崎芳太郎は、山頂への三角点埋設の至上命令を受け、地元の案内人・長次郎とともに、器材の運搬、悪天候、地元の反感など、さまざまな困難と闘いながら、その頂に挑戦する。そして、設立間もない日本山岳会隊の影が─。我が国最高の撮影監督といわれる木村大作が自らメガホンをとった、畢生の映画化作品の原作にして、新田次郎山岳小説の白眉を、読みやすくした新版。
Manha de Carnaval / Morning of Carnival / Black Orpheus / Orfeo Negro / カーニバルの朝 / 黒いオルフェ

Country Comfort


Guitar Trio(Al Di Meola, Paco De Lucia, John McLaughlin)


Sungha Jung


jorgenolla




http://www.yafo.net/blog/2010/04/we-are-the-children-by-country-comfort.html

どうして会社に行くのが嫌なのか (アスキー新書 026)




あまり深刻になりすぎずストレス解消法を説明

現在、自分自身が「会社に行きたくない状態」に陥っているわけではないが、過去には何度か行きたくないと思ったことがある。この本は、本屋で何気なく手にして購入したものだが、起きている時間の半分以上を会社で過ごすサラリーマンのストレス解消に役立つ方法について書かれている。

ブルーマンデーとは月曜日の自殺者がもっとも多いという事実と一致するらしい。月曜日はウォーミングアップと考えて頑張りすぎないことが重要だ。月曜朝一の会議などもってのほかだ。日曜日の夜になると「明日からまた会社かぁ」と憂鬱になる「サザエさん症候群」というのがあるらしいが、分かるような気がする。
忙しさの怖いところは心身が疲れ切ってしまうこと、閑の怖いところは時間がありすぎてやる気が湧かないこと。
加齢による焦りがストレスとなるが、「大人としての責任」を引き受けていく覚悟を持つこと。このミドルエイジ(40~50代)は、仕事、家庭、健康面で大きな変化が出てくる。40歳頃を人生の午後と言い、思秋期ともいうそうだ。
怒りをコントロールできれば人間関係はうまくいく。怒りにまかせて捨てぜりふを吐いたりするのではなく、なぜ怒ったのかをきちんと伝えることが大事だ。「キレずに怒りを伝える」 「"アサーション"的対話をする」
2割の仕事に勝負をかけて全力で挑むこと。

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内容紹介
会社が苦痛なのはなぜ? 自分でその理由を考えてみたことはありますか? 「会社のなにもかもが嫌」「毎日なんだか気が重い」 ストレスを感じる特別な理由に思い当たらないから、と言って放置していたら、心身はボロボロになってしまいます。 実は、ストレスの実態は、小さなストレスの積み重ねであることが多いのです。 週初めのどんよりとした気持ちも、気詰まりな人付き合いも、ちょっとしたコツで解決することがあります。 本書では、具体的な職場ストレスの原因を提示することで、ひとつひとつのストレスへの対処法を紹介します。 「言われてみれば、そうだった」「こんな単純なことで悩んでいたのか」と、心が一気に軽くなるコツ満載です。
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
たいていの人が感じているストレスの原因は、明確にひとつだけにしぼれず、自覚しづらいものです。その結果として、日々の漠然とした苦痛が生まれるのです。本書では、具体的な職場ストレスの原因を提示することで「言われてみればそうだった!」と、心のモヤモヤを晴らし、シンプルな解決法をお教えします。
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【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「会社が苦痛」な瞬間 月曜の会社は、どうしてこんなに苦痛なのか 朝刊も朝のニュースもつらい ほか
第2章 人間関係がうまくいけば、ストレス激減 キレずに「怒り」を伝えていますか? 「アサーション」的な対話ができていますか? ほか
第3章 ストレスを大きくしているのは自分だった(過剰にネガティブに考えていませんか? 愚痴は長い目で見れば自分をだめにする ほか
第4章 傷んだ心と体のメンテナンス術 サラリーマンこそ!「超早寝早起き」のススメ 五感をまんべんなく使った、快い刺激を心がけよう ほか

衆愚の時代 (新潮新書)


「衆愚」という言葉に聞き覚えがあったが、ギリシャの「衆愚政治」だった。判断力が乏しい多数の愚民による政治のことで、愚かさゆえに政策が停滞してし まったり、愚かな政策が実行される状況をさす。
この本でいう「衆愚」とは、TVや新聞などマスゴミの影響を受けやすく、具体的なことはよく分からないままその意見を受け入れてしまうような人達 を指していると思われる。小泉政権下では、これらの主婦層・高齢者層・若者層のことを「B層」と呼んだ。この本は「衆愚」=「B層」を痛烈に皮肉った内容 となっている。
読みながら「そうだそうだ」と納得できる部分も多かったが、後ろの方の民主党批判の部分には疑問を感じた。著者自身がマスゴミの「民主党バッシン グ」につられて批判しているように感じられた。自らを「衆愚」と言っているようなものだ。
主な内容は下記。
 テレビのキャスターやコメンテーターの言うことを鵜呑みにして自分で考えることをしない
 消費者が安い商品を求めるから派遣社員が生まれ、派遣切りも発生するのは当然だ
 また、正社員としての勤め方を嫌って、自由に生きると言って派遣社員になった者もいる
 フリーターに市民権を与えた 昔は「プータロー」と呼ばれ恥ずかしいものだった
 弱者は常に正しいのか 責任を放棄しておいて困ったときだけ弱者への救済を求めるのか
 株や金融商品は博打だと覚悟して
 若者は老人より優れているのか 使えない若者、使える老人
 家は資産にはならない 値下がりするものだ

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内容(「BOOK」データベースより)
いつの間にか、この国では偽善的言説が「正論」になってしまった。負担は先送りして「国民のみなさま」にバラマキを約する政治家、セレブ生活を棚に上げて「CO2削減」を訴えるテレビキャスター、「誰もが望んだ仕事につける社会を」と空論を述べる新聞記者...。誰も本当のことを言わないのなら私が言おう、社会人なら心得ておくべき「当然の常識」を。思わず溜飲の下がる、衆愚の時代への鉄槌。
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【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 派遣切りは正しい
第2章 欲望を知らない子供たち
第3章 夢という名の逃げ道
第4章 サラリーマンは気楽な稼業ではない
第5章 まだ株屋を信用しますか
第6章 非成長時代の身の処し方
第7章 老人専用テーマパークを作ろう
第8章 「弱者の視点」が国をダメにする

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