沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
読み終わったのは1ヶ月ほど前だ。映画化されて評判になっていたので、文庫本5巻を購入して一気に読んだ。
作者は、「あとがき」の中でこの小説を書こうと思ったきっかけは御巣鷹山事故だったと述べている。5巻中1巻を「御巣鷹山篇」として主人公恩地をご遺族係にして、その悲惨さを後世に伝えることを目的としているようだ。 小説とは言いながら、実在の人物、企業、政治家、官僚、出来事がモデルとなっており、個人名や企業名を特定することは可能で、小説の内容は贈収賄や背任行為がこれでもかとばかり出てくる。よくぞ、このような小説を書き、世に出したものと思う。
それにしても、この航空会社の経営陣と当時の政治家、官僚の倫理観の欠如にはあきれるばかりだ。今から30年~15年ほど前の日本で実際に起こったことなのだ。
30年前というと私が大学を出て就職した頃だ。入社と同時に組合にも自動的に参加させられたが、それはまさに御用組合だったし、会社幹部は組合執行部の経験があるというのは暗黙の了解事項だったようだが何の疑問を抱くこともなかった。過去の労働争議を反省して労使協調により会社を発展させ、社員も安定して働けるようにするという説明が、会社側からも組合側からもあったことを思い出した。
この小説はハッピーエンドでもないし、主人公がヒーローかというとそうでもなく、その生き方が正しいとも言い切れない気がする。しかし、自分自身の筋を通すということを考えさせられた小説だった。自分の筋を通すために家族や周りの人を巻き込んでしまうことも辛いが、筋を曲げて迎合してしまうことも辛いことだ。 また、強大な権力に比べて一人ひとりの個人がいかに小さいものかということも感じさせてくれた。
内容(「BOOK」データベースより)
アフリカ篇(上)
広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命―。人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける。
----
アフリカ篇(下)
パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。共に闘った同期の友の裏切り。そして、家族との別離―。焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす...。
----
御巣鷹山篇
十年におよぶ海外左遷に耐え、本社へ復帰をはたしたものの、恩地への報復の手がゆるむことはなかった。逆境の日々のなか、ついに「その日」はおとずれる。航空史上最大のジャンボ機墜落事故、犠牲者は五百二十名―。凄絶な遺体の検視、事故原因の究明、非情な補償交渉。救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられた恩地は、想像を絶する悲劇に直面し、苦悩する。慟哭を刻む第三巻。
----
会長室篇(上)
「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった...。
----
会長室篇(下)
会長室の調査により、次々と明るみに出る不正と乱脈。国民航空は、いまや人の貌をした魑魅魍魎に食いつくされつつあった。会長の国見と恩地はひるまず闘いをつづけるが、政・官・財が癒着する利権の闇は、あまりに深く巧妙に張りめぐらされていた。不正疑惑は閣議決定により闇に葬られ、国見は突如更迭される ―。勇気とは、そして良心とは何かを問う壮大なドラマ、いよいよ完結へ!。
読み終わったのは1ヶ月ほど前だ。映画化されて評判になっていたので、文庫本5巻を購入して一気に読んだ。
作者は、「あとがき」の中でこの小説を書こうと思ったきっかけは御巣鷹山事故だったと述べている。5巻中1巻を「御巣鷹山篇」として主人公恩地をご遺族係にして、その悲惨さを後世に伝えることを目的としているようだ。 小説とは言いながら、実在の人物、企業、政治家、官僚、出来事がモデルとなっており、個人名や企業名を特定することは可能で、小説の内容は贈収賄や背任行為がこれでもかとばかり出てくる。よくぞ、このような小説を書き、世に出したものと思う。
それにしても、この航空会社の経営陣と当時の政治家、官僚の倫理観の欠如にはあきれるばかりだ。今から30年~15年ほど前の日本で実際に起こったことなのだ。
30年前というと私が大学を出て就職した頃だ。入社と同時に組合にも自動的に参加させられたが、それはまさに御用組合だったし、会社幹部は組合執行部の経験があるというのは暗黙の了解事項だったようだが何の疑問を抱くこともなかった。過去の労働争議を反省して労使協調により会社を発展させ、社員も安定して働けるようにするという説明が、会社側からも組合側からもあったことを思い出した。
この小説はハッピーエンドでもないし、主人公がヒーローかというとそうでもなく、その生き方が正しいとも言い切れない気がする。しかし、自分自身の筋を通すということを考えさせられた小説だった。自分の筋を通すために家族や周りの人を巻き込んでしまうことも辛いが、筋を曲げて迎合してしまうことも辛いことだ。 また、強大な権力に比べて一人ひとりの個人がいかに小さいものかということも感じさせてくれた。
内容(「BOOK」データベースより)
アフリカ篇(上)
広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命―。人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける。
----
アフリカ篇(下)
パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。共に闘った同期の友の裏切り。そして、家族との別離―。焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす...。
----
御巣鷹山篇
十年におよぶ海外左遷に耐え、本社へ復帰をはたしたものの、恩地への報復の手がゆるむことはなかった。逆境の日々のなか、ついに「その日」はおとずれる。航空史上最大のジャンボ機墜落事故、犠牲者は五百二十名―。凄絶な遺体の検視、事故原因の究明、非情な補償交渉。救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられた恩地は、想像を絶する悲劇に直面し、苦悩する。慟哭を刻む第三巻。
----
会長室篇(上)
「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった...。
----
会長室篇(下)
会長室の調査により、次々と明るみに出る不正と乱脈。国民航空は、いまや人の貌をした魑魅魍魎に食いつくされつつあった。会長の国見と恩地はひるまず闘いをつづけるが、政・官・財が癒着する利権の闇は、あまりに深く巧妙に張りめぐらされていた。不正疑惑は閣議決定により闇に葬られ、国見は突如更迭される ―。勇気とは、そして良心とは何かを問う壮大なドラマ、いよいよ完結へ!。

コメントする