"招かれざる大臣 政と官の新ルール" by 長妻昭(朝日新書)

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招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)



日本の政治を変えるためには官僚組織の解体が必須だ

野党時代「ミスター年金」と呼ばれた著者が厚生労働大臣を務めた1年間の奮闘記と提言だ。
官僚機構を生体の抗体反応に例えているところがカレル・ ヴァン・ウォルフレンの著書「誰が小沢一郎を殺すのか?  画策者なき陰謀」と同じで非常に興味深い。一人一人は優秀できちんと仕事をしているつもりなのかもしれないが、官僚組織全体としては組織の維持・拡大のた めに、異物を排除しようとする働きに荷担してしまう。序章に「中央省庁の官僚組織は一つの生命体のように見える。私はそこにポンと置かれた異物のように感 じたものだ。生命体は異物が入り込むと抗体反応で排除に動く。霞ヶ関の抵抗を目の当たりにするたびに、そんな感覚にとらわれた。」と書かれているように、 長妻氏が厚生労働大臣に就任したことに対する抵抗は並大抵のものではなかったようだ。
この背景としては、官僚は大臣をお客さんとしか考えていな い、いつまで大臣でいるのか分からない、などがあるそうだ。大臣が替わっても降格にもならず職も失わないためお手並み拝見という姿勢になる。昨日と同じよ うに今日も動けばいいと思っている。これが官僚の姿であり、仕事のやり方である。
日本の政治を変えていくためには官僚組織の解体しかないということを痛感する。

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内容紹介
厚生労働大臣として、官僚組織を相手に悪戦苦闘した1年間を克明に記す。官僚たちの抵抗、面従腹背、したたかさを暴く。なぜ、官僚主導はダメなのか。古い役所の体質をいかに変えたか。沈黙を破って放つ、批判と反省と提言の書。
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内容(「BOOK」データベースより)
赤 裸々に明かす。―厚生労働大臣在任367日間に、「伏魔殿」では何が起きていたのか? 正直に反省する。―なぜコントロールできなかったのか? 政と官の新しい関係は? 具体的に提言する。―少子高齢化社会の「日本モデル」、消費税アップの三大課題、そして、民主党の進むべき道すじ。

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このページは、yafoが2011年4月24日 22:20に書いたブログ記事です。

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