"卒業" by 東野圭吾(講談社文庫)

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卒業 (講談社文庫)



TVドラマ「新参者」の刑事加賀恭一郎が大学4年生のときの事件だ。東野圭吾にとっても初期の作品で、加賀恭一郎にとっても最初の事件ということから期待して読んだのだが、ちょっと期待はずれというところだ。
祥子の自殺は恋人藤堂の冷たい気持ちを感じて衝動的な動機としてあり得るかもしれないが、波香が茶道の作法を使って密かに仕返しをしようとしたところは、波香が取る行動とは思えない。剣道を極めようとする者として、剣道の試合での不正に対しては正々堂々と立ち向かうはずではないのだろうか。陰でこそこそ小細工をして結局、その小細工で自分が殺されてしまうというあり得ないストーリー作りが気になった。また、茶道「雪月花之式」の細かい説明と図説が書かれているのだが、正直なところ全く理解できず読み飛ばしてしまった。
なお、7人の仲間のうち3人が続けて死んでしまうというストーリーの設定は、あまりにも虚しい感じしか残らない。

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内容紹介
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。ある日、祥子が自室で死んだ。部屋は密室、自殺か、他殺か? 心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?
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内容(「BOOK」データベースより)
大学4年の秋。就職、恋愛に楽しく忙しい仲よし7人組・その中の一人、祥子がアパートの自室で死んだ。部屋は密室。自殺か、他殺か!?残された赤い日記帳を手掛りに、死の謎を追及する友人たち。だが、第二の全く異常な事件が起って...。錯綜する謎に挑戦する、心やさしき大学生・加賀恭一郎。卓抜な着想と緊密な構成で、現代学生のフィーリングを見事に描いた、長篇ミステリーの傑作。

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このページは、yafoが2010年8月20日 11:33に書いたブログ記事です。

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