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"日本離れ"できない韓国 (文春新書)



韓国でも政府・政治家・マスコミ・学者には要注意

筆者は韓国在住25年の記者だ。
常々、韓国の日本への異様な対抗意識と反日感情の理由についてもう少し詳しく知りたいと思っていた。いわゆる歴史問題によることは分かるのだが、中国や台湾などとは違う何かがあるようだと感じていたのだ。企業取引や韓流映画、K-POPなど民間レベルでは友好的なのだが、歴史問題が絡むと豹変し敵意剥き出しに日本を非難してくる。政府・政治家・マスコミ・学者などがその傾向が顕著だ。筆者によれば、これは「しゃくにさわる」ということらしい。歴史問題に限らず日本が関係すると反日感情が先に立つのだという。その理由は、自力で日本支配から脱出できなかったということが一番大きい。日本は太平洋戦争で連合国に降伏しポツダム宣言によって朝鮮半島から撤収したのであって、韓国に降伏したのではない。そもそも日本は韓国と戦争した事実もなく、韓国は対日戦勝国にも入っていない。これが鬱憤となって何かにつけて日本にいちゃもんをつけているということらしい。竹島問題、歴史教科書問題、靖国問題・・・。一般的に「勝者」が「敗者」に対していつまでもぐずぐずと文句をいうことは考えられず、やはりこのことが一番の要因だという意見には納得できる。

今日の韓国の発展は、1965年の日韓国交正常化後に日本からの影響を受けたことによるという考えは、世界的に認知された事実だが、これを認めたくない・認めないという「日本隠し」が行われている。最たるものは戦後補償である。「日本は何も償っていない」という指摘をされることがあるが、国交正常化に際し、政府から5億ドル、民間融資3億ドルを支払っており、韓国はこれを資金にして大きな発展を遂げた。浦項製鉄(POSCO)、京釜高速道路、昭陽江ダムなどのビッグプロジェクトが有名だ。さらに、日本が個人補償を提案したのに対して、韓国は政府への一括補償(個人補償を含む)を主張し、これを了承したという経緯がある。従軍慰安婦問題で韓国の方が日本政府に賠償を要求することは間違いで、韓国政府に請求すべきことなのである。日本が罪を償っていないと言い続けることによる「道徳的優越感」が韓国人を大いに満足させ、自力で日本支配から脱出できなかった「恨(ハン)」をはらそうとしているのだ。
あとがきによれば、このように韓国の「反日」には韓国側の事情があるのだから、日本は一々じたばたせず韓国側の事情が変わるのを待つしかないと言っている。四半世紀に亘る韓国生活を通じて「韓国人は世界で最も反日であると共に最も親日であると思う」「韓国は反日だが、韓国人は親日だ」と書かれている。

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内容(「MARC」データベースより
浦項製鉄、京釜高速道路、昭陽江ダムという韓国発展のビッグ3も、韓国人がみな知っているロッテ、即席ラーメン、ヤクルトも国交正常化以後の「日韓協力の成果」だった! 「反日」で「親日」の国の真実の姿を伝える。

FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書)



福島原発震災の原因は津波ではなく地震多発国に建設したことだ

著者は昨年「原子炉時限爆弾」(ダイヤモンド社)で、特に浜岡原発の危険性を訴えていた。今回の原発震災は福島第一原発で発生してしまったが、日本の原発の安全基準のいい加減さや耐震性・安全性の不完全さを露呈することとなった。これをきっかけに、多くの日本人が原発の危険性を改めて認識したはずだ。私自身電力をふんだんに使う生活に慣れすぎて、原発そのものにいかに無関心だったかを痛感し反省している。第2、第3の原発震災を絶対に起こさないためにも、脱原発の流れを盛り上げて実現する必要がある。
本書で力を入れて書かれているのは、日本が地震多発地域にあるということ、そして歴史的に見て大地震は周期的に発生しており、今現在その発生周期にかかっているということだ。また、福島原発震災の原因は津波であるかのような論調が見られるが、そうではなく「地震多発国に原発を建設すること自体が間違っている」のだ。
しかし、このようなリスクを無視するかのごとく、原発を推進する電力・官僚・学者・企業がいることも忘れてはならない。原発は「地球温暖化対策の切り札」で「クリーンで安価なエネルギー」というのはは大嘘だということを正しく認識することが必要である。公表されている原発のCO2排出量や発電コストは発電時に必要な最小限の値であろう。しかし、燃料棒の製造や使用済み燃料の処理など発電時以外に発生するCO2や費用を含めれば、莫大な値になることは容易に想像できる。
そもそも使用済み核燃料の処理ができないという事実が見過ごされていると思われる。著者は六ヶ所村の再処理工場は今後もまともな運転は見込めないと断言している。人間の手で最後まで安全に処理できないものは作らないのが筋ではないのかと感じる。

エネルギー・経済統計要覧に基づけば、日本全体では原発がまったく稼働しなくても火力と水力で十分賄えることがわかっている。さらに、1997年の電気事業審議会の調査によれば、IPP(Independent Power Producer=独立系卸電力事業者)と言われる鉄鋼、機械、化学メーカーが保有する発電能力は最低でも2135万kW、最大では5200万kWに達するということだ。発電と送電の分離による電力自由化を実現する必要がある。

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内容紹介
福島第一原発の事故が日本全体を恐怖に陥れている。放射能災害が起これば一大事だが、単に「福島」にとどまる話ではない。地震多発国の日本に原発が54基ある。いつ起こるかわからない地震に備えて、運転を即、止めよと警告する。
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
福島第一原発の惨状は目を覆わんばかりだ。原発震災を招いた原因は何なのか。「次」を防ぐ策はあるのか。「揺れも津波も想定外」とする東電幹部や識者たち。しかし、時がたつにつれ「事故は人災」との指摘が強まっている。折しも列島は「地震激動期」に突入した。日本を救うために、原発震災の危険性をいち早く指摘していた著者が、「全原発を即、止めよ」と緊急警告する。
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【目次】(「BOOK」データベースより)
原発震災がまた襲って来る/第1部 福島第一原発事故の「真相」(津波に暴かれた人災/東電・メディアに隠された真実/放射能との長期戦)/第2部 原発震災、ここで阻止せよ(巨大地震の激動期に入った日本/「浜岡原発」破局の恐怖/活断層におびえる「原発列島」)/完全崩壊した日本の原子力政策

外交官が見た「中国人の対日観」 (文春新書)



マスゴミに左右されない中国の姿が書かれている

中国とはよく分からない国だと思っていた。しかし、本書を読んで分からないと言うよりよく知らないというのが本当だと思った。マスゴミ(テレビや新聞など)で報道されるのは、嫌日、反日という極端なニュースばかりで、これらを基準に判断しては間違いのもとだということがよくわかった。
著者は中国大使館の広報文化担当公使として民間レベルの交流に携わった経験をもとに本書を書いている。民間とはいっても、中高生・大学生・メディアや言論関係の知識人など広範囲の中国人に直に接して、感じたことが書かれている。
印象的だったのは、一人っ子政策なども関係するが、子供の教育に熱心(過熱気味)で昔の日本のような詰め込み教育が行われていること、また「中国はデブ、真に強い国とは言えない」とか「日本の良いところは素直に受け止めて学ぼう」という謙虚な発言がよく聞かれるということだ。教育に熱心で外国から何でも学ぼうという姿は、かつての日本の姿に重なる。
我々日本人の中国観は、マスゴミ(テレビや新聞など)の報道によって強く左右されて偏ったものになっているという思いを強くした。

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内容(「BOOK」データベースより)
沈む欧米諸国、日本をよそに経済的大躍進を続ける中国。我々は「中国はいい加減な国だ」とあら探しをして安心してはいないか?中国には自慢もあれば、自制もある。元中国公使が見た、聞いた「新しい中国」の姿。

招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)



日本の政治を変えるためには官僚組織の解体が必須だ

野党時代「ミスター年金」と呼ばれた著者が厚生労働大臣を務めた1年間の奮闘記と提言だ。
官僚機構を生体の抗体反応に例えているところがカレル・ ヴァン・ウォルフレンの著書「誰が小沢一郎を殺すのか?  画策者なき陰謀」と同じで非常に興味深い。一人一人は優秀できちんと仕事をしているつもりなのかもしれないが、官僚組織全体としては組織の維持・拡大のた めに、異物を排除しようとする働きに荷担してしまう。序章に「中央省庁の官僚組織は一つの生命体のように見える。私はそこにポンと置かれた異物のように感 じたものだ。生命体は異物が入り込むと抗体反応で排除に動く。霞ヶ関の抵抗を目の当たりにするたびに、そんな感覚にとらわれた。」と書かれているように、 長妻氏が厚生労働大臣に就任したことに対する抵抗は並大抵のものではなかったようだ。
この背景としては、官僚は大臣をお客さんとしか考えていな い、いつまで大臣でいるのか分からない、などがあるそうだ。大臣が替わっても降格にもならず職も失わないためお手並み拝見という姿勢になる。昨日と同じよ うに今日も動けばいいと思っている。これが官僚の姿であり、仕事のやり方である。
日本の政治を変えていくためには官僚組織の解体しかないということを痛感する。

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内容紹介
厚生労働大臣として、官僚組織を相手に悪戦苦闘した1年間を克明に記す。官僚たちの抵抗、面従腹背、したたかさを暴く。なぜ、官僚主導はダメなのか。古い役所の体質をいかに変えたか。沈黙を破って放つ、批判と反省と提言の書。
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内容(「BOOK」データベースより)
赤 裸々に明かす。―厚生労働大臣在任367日間に、「伏魔殿」では何が起きていたのか? 正直に反省する。―なぜコントロールできなかったのか? 政と官の新しい関係は? 具体的に提言する。―少子高齢化社会の「日本モデル」、消費税アップの三大課題、そして、民主党の進むべき道すじ。

誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀



検察やメディアの行動を免疫機能に例えているところが秀逸だ

著者は30年以上に亘って日本政治を取材し続けてきたオランダ人ジャーナリストだ。
本書は小沢氏を盲目的に擁護しようとするものではない。現在日本で小沢氏に対して行われている「人物破壊」というキャンペーンを題材として、非公式に日本の政治システムを牛耳っている官僚機構(特に検察)について述べたものである。また、日本とアメリカとの関係については、日本がアメリカの「保護国」を脱して真に独立した民主国家となることを願い、その役割を担うのは小沢氏しかいないということを言いたいものである。
まず、小沢氏を排除しようと画策している非公式かつ超法規的な政治システムを人間の免疫機能に例えているところが秀逸だ。自分たちの作り上げた社会秩序を変える可能性の高い政治的実力者(異物)を排除しようという力が自動的に働いているという。非公式かつ超法規的な政治システムとは明治維新のリーダーによってつくられた官僚機構であって、国民に真実を知らせることは「秩序を乱す」ことであり、権力者たる自分たちが正しく導かなければならないと信じているのだ。
一般の国民は、直接的に政治を知ることはできないため、メディアが生み出す「政治的現実」(政治に関わる人々の総体がなす行動、相互作用)を通じて知ることになる。本来ジャーナリストによる多様な解釈が提供され、いろんな情報を国民が得ることができるのが当然なのに、日本のメディアの解釈は画一的でその結果としての報道内容も横並びで同じである。誰に命じられているわけでもないのに同じになってしまうことが問題だ。結果として一般国民は、その画一的なメディアの報道を「政治的現実」と捉えてしまうのだ。
今も検察やメディアによる小沢氏に対する「人物破壊キャンペーン」が行われているが、これがまさに免疫機能による「画策者なき陰謀」である。彼らは日本の秩序(旧来の体制、55年体制、アメリカ従属)を守るのが使命だと信じており、間違ったことをしているなどとは考えていない。恐ろしいことである。

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内容
永田町取材30年以上のオランダ人ジャーナリストが、「小沢一郎」問題の背後に浮かび上がる「非公式権力」と、その支配の構図を徹底解明。

検察とマスコミによる「異分子」の抹殺、民主主義を揺るがす「日本型スキャンダル」の罪、そして小沢一郎問題と戦後日米関係を結びつける「密約」の正体とは――。日本の未来を問い直す刺激的論考、騒乱の渦中に緊急出版!

「明治期に形成された〈官僚〉中心の日本政治のシステムが、いかにして〈検察〉と〈マスコミ〉によって守護され、その敵となる異分子を排除してきたのか――小沢問題の核心はここにある。」
30年以上に渡って日本政治を取材し続けてきたオランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンが、明治時代から連綿と続く日本の「政治システム」の闇を歴史的・包括的に分析し、霞ヶ関とマスメディアが守りぬく「非公式権力」に鋭く切り込む。
「政治家・小沢一郎」はなぜ摘発されたのか?その背景を明かす衝撃の「日本政治」論。小沢一郎強制起訴の渦中に緊急出版決定!

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著者について
アムステルダム大学教授、ジャーナリスト。 1941年、オランダ・ロッテルダム生まれ。
30年以上にわたって日本の権力構造をめぐる取材・分析をおこない、日本と欧州を行き来しながら先鋭的な批評活動を展開してきた。
72年よりオランダ「NRCハンデルスブラッド」紙の東アジア特派員、82年より日本外国特派員協会会長を務め、「フォーリン・ア フェアーズ」「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」などに寄稿している。
世界的なベストセラーとなった『日本/権力構造の謎』(早川書房)、『人間を幸福にしない日本というシステム』(毎日新聞社/新潮社)のほか、近刊に『アメリカとともに沈みゆく自由世界』(徳間書店)がある。
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